現在外壁の板金工事がメインで、インテリアでは木造作工事が淡々と進んでいます。
今回の敷地は、隣地境界となっている擁壁の位置と正規の境界線がずれていて、
隣地側に境界線があります。そんな訳で、可能な限り擁壁に近づけて建物を建てて
いるため、図面上は隣地との距離があるにもかかわらず、足場を建てるスペースが
そのため外壁に関わる工事は足場と建物の間隔が狭く、作業に気を使います。
しかも1階の外壁材は、ガルバリウム鋼板の黒を採用していて、傷付けると目立ちます。
職人さんは「大した事ないですよ」と淡々と外壁を張り進めていますが、2Mを超える
外壁材を今回の狭さで取り回すのはかなり大変なはずで、さすがプロと言った感じで、
それから鉄骨造のキャンチレバーによる洗濯テラスの床組みが設置されました。
構造事務所にも確認してもらっていて、さほど揺れないことは分かっているものの、
そのさほどがどの程度か少し心配だったので、早速先端部分に乗り飛び跳ねてみたところ、
予想以上に硬い感じで問題なしでした。続いて現場監督と職人さんの2人に飛び跳ねて
もらい、見た目でどの程度たわむかを確認しましたが、特に問題なしで一安心です。
そして先週末は、施主に現場へお越し頂き、工事の進捗状況説明等の打ち合わせを
行いました。
今回初めて2階へ上がって頂き、キッチン、ダイニング、リビング、畳スペースと続く今回の
メイン空間の抜けの良さを、体で感じて頂くことが出来ました。合わせて着工後の変更で
お手数をお掛けしたサッシ割にもご満足頂きなによりです。
現場を出る前に屋根に上ったところ、低く垂れ込めた雲の合間から月が覗いていました。
普段意識することがほとんどない、日が暮れる前の月ですが、曇りのせいかいつもより明るく
感じられ、夕焼けの色も加わり、早朝のような不思議な雰囲気で、深呼吸をしてしまいました。
それから、先週の土曜日のことですが、住宅コンペ物件の現調会に参加してきました。
条件や要望などを直接質疑応答して、より深く知るために行う場のことです。
文章のみからでは、微妙なニュアンスや本気度とでもいいますか、施主の気持ちの
部分を深く読み取るのは難しく、もどかしさを感じる部分でもありました。
また、近頃では、ネットで簡単にコンペを開催できる手軽さと、わざわざ時間を割いて
直接やり取りする場を設けるという、言葉は悪いですが煩わしさが矛盾するのか、
現調会を開催するコンペがほとんどないのが実情だと思いますが、久しぶりに参加してみて、
やはり有効な手段だと感じました。
また、施主夫妻には貴重な時間を割いて場を設けていただき、感謝しています。
まだまだ全体の組み立て方について検討を進めている段階です。
最初のイメージであった囲い型の中庭のものをベースに、キッチンや水廻り、個室等、
いろいろなバリエーションを提示しながら、Mさんのライフスタイルを探していくような
作業をしているところです。
シークエンスという意味では何か足りないものを感じ、対面の見え隠れすることで
生まれるシークエンスは空間の魅力ではあるのだけど、それを必然とするにはまだまだ
足りない、といった感じでしょうか。建築家らしく語るならば。
生活が快適であり、想像できることが大事だと考えているので、なんとなく今もやもや
していることをうまくまとめられればいいなと思っています。