ダイニングに集う家

2012年10月12日

先日提案させて頂いた、ご夫婦と二人のお子様と、将来ご両親との2世帯を想定した住宅です。

周りを住宅に囲まれた密集地にありながらも、心地よい環境を取り込み、
テレビばかりではなく、小さいお子様と一緒に過ごす時間を大切にしたい。
みんなが落ち着く場所や本を読む場所、そして自分たちの時間や場所も大事にしたい。
などいろいろな要望がありましたが、中心にあるのは「家族が帰ってきたくなる家」です、
とのお話から、家族がそれぞれの時間を過ごす場所をきちんと作ることと、
家族の集う場所となるダイニングを気持ちよく作る「ダイニングに集う家」をつくりました。

内部はスキップフロアになっていて、キッチンとダイニング、リビング、子供のロフト、
たたみの和室、図書コーナーなどを異なるレベルに作ることで、
限られた面積の中でも程よい距離を保つ場所を作ることを計画しました。
また、ゲストルームと将来のご両親の部屋となる和室は、一番距離感の設定が大事だと考えました。

具体的には、和室が普段使わない部屋になるのはもったいないのでリビング横がいいけど、
同居された時にはお互いの声や音が気になって、遅くに帰ってきたご主人がくつろげない、
などのそこで過ごす場合の距離感を考え、私達はプライベートな1階とパブリックな2階の中間、
ダイニングより半ステップ下がった1.5階レベルに和室を作ることを提案しています。

スキップフロアは複雑に思われがちですが、近くにありながらも目線の高さを変えることで、
コンパクトなスペースにいろんな性格の場所を混在させ、風の道も作りやすい利点がありますが、
どうしても上下の移動が多くなるので、日常動線をいかに整理するかがポイントになります。

残念ながら、今回の案は実現しませんでしたが、
家族がラクに生活できる距離や形について、今後もしっかり考えていきたいと思います。