隣地境界線からの最少施工距離を確認していたので、覚書として。
まんぼうで一番小さいものは、隣の家と繋げて施工した「上越M」のゼロですが、
実際は見えなくなる面にサイディング材を差し込むために、50ミリほど空いていて、
その上にカバーをかけています。
※極端に細長い敷地の続く多雪地域で、建物と正面の雁木(がんぎ)は隣家と繋げ、
後から施工する方が水と雪の仕舞(処理)をする、という、町のルールがありました。
その次に狭いのは狭小変形地に建つ、「豊島T」。
この住宅では、深基礎となる地下コンクリートの外に、設備配管や枡を施工し、
外壁の金属板を職人さんの手で葺くための通常足場を必要としたことなどから、
最少でも350前後を確保していますが、
エントランス廻りなど、部分的にはコンクリート床は跳ね出させ、
もう少し小さい寸法で施工しています。
現在申請準備中の川面の見える家でも、建物幅を広げるため最少寸法を検討しましたが、
お隣の家が現在境界線上に建っていて、空中での越境作業も見込めないことや、
モルタル塗り下地を作る職人が、むらなく仕上げられる施工寸法として、
最低でも境界から400以上は必要との判断で、最終的には500としました。
(それでも、給湯器は狭い場所用の、横排気タイプを使用します。)
これらの寸法というのは、なかなか明言された資料というものはなく、
付き合いのある監督さんに施工側からの意見を訊いたりしながら確認していますが、
施工会社によって判断が異なる場合もありますし、ミリ単位で動けない部分でもあるので、
最少と思う数値から少し余裕を見るようにしています。
こういった話は狭小地や細長い敷地を検討中に相談されることが多いのですが、
施工は可能でも、敷地に定められている建蔽率を超えることはできないということと、
民法では境界線より500以上離すことを定められているので、合わせて確認が必要です。
その他に、構造形式や隣地との高低などの要因も関わりますが、
最終的には、プランや内部の使い方、仕上げ材、設備機器、施工性など、
全てを合わせて整理することで決まる、と考えています。
と、長々と書きましたが、こんなことを考えているといろんなところが気になるもので、
いつもの散歩道も、お隣との距離や仕上げなど、じろじろ見ながら歩いています。。
詳しい紹介はコチラ>>
上越M:豪雪地の極端に細長い敷地に中庭と吹抜けをつくる
豊島T:狭小傾斜変形敷地に抜群の360°眺望を取り込む
これまでの設計過程はコチラ>>川面の見える家