敷地の周辺は傾斜地になっていて、道路の両側に階段状に宅地が並んでおり、
今回の敷地も、周囲をコンクリートの擁壁(ようへき)に囲われていて、隣地とは
1mを超える段差があります。
通常、この階段状の宅地が、切土(元の地盤を切り崩す)によって造られたものか、
盛土(元の地盤の上に土を盛る)によって造られたものかによって地盤の耐力が変わり、
地盤改良が必要になりますが、本敷地は後者であり、擁壁 αの深さまで地盤を
改良する必要があることが設計当初の確認で、わかっていました。
地盤改良にもいろいろあるのですが、改良深さと工期短縮の理由から、
今回は小口径鋼管杭工法と呼ばれるものを採用しました。
と書くとわかりにくいかと思いますが、「小口径鋼管」とは口径(直径)の小さな鋼管で、
直径12cm弱の鋼管を必要数地中に圧入して、その上に建物の基礎を載せるイメージです。
こうすることで、支持地盤といわれる強い地盤の上に基礎が乗っていることになるわけで、
打ち込む本数は、構造計算されて決まるのですが、今回は29本でした。
前置きが長くなりましたが、工事自体は非常にシンプルで、通称ユンボといわれる小型の
ショベルカーの腕の先端に専用工具を取り付けて、鋼管を回転させながら、ユンボの自重で
地中に差し込んでいくだけで、次々と杭が地中に飲み込まれていきました。
と、せっかくの工事開始に3行で終わってしまってはのっけから心もとないので、
少し肉付けしてしまいました。